作業療法学科

生活動作に関する筋肉や神経を医学的知識をもとに分析できる人材を養成
人の生活に手と脳の働きは欠かせません。例えば手のひらは平らではなく、くぼんだ形をしており、この形が崩れると道具の操作ができません。脳はその場所によって機能が決まっており、大脳前方部分の不調があれば、体へ運動の指令が送れません。作業療法士は解剖学や運動学、精神医学などの知識に基づいた医学的評価を行い、心身に不調をきたす小児から高齢者に至る幅広い対象者へ効果的なプログラムを提供します。つまり、生活に必要な動作能力の回復を図るため、手と脳の機能の治療・代償を行うスペシャリストです。
さらに今後は、国がめざす地域包括ケアシステム実現のため、医療と介護のシームレスな連携が求められます。言い換えれば、「その人の治療」にとどまらず「その人らしい生き方の実現」へ関わる専門性が必要とされます。
そこで本学科は、人の体と心を医学的に理解できることは基より、その人らしい生き方を考え抜く人材の育成を意識しました。論理的に思考して科学的に探究できる作業療法士をめざしましょう。

作業療法学科長
北島 栄二 教授
学科概要
定員
40名
取得可能な資格
- 作業療法士国家試験受験資格
作業療法士の活躍の場
医療機関
- 総合病院
- 大学病院
- 一般病院
- リハビリテーション専門病院
- 訪問看護ステーション
ほか
児童福祉施設
- 児童発達支援センター
- 保育園
- 特別支援学校
ほか
高齢者福祉機関
- 老人保健施設
- 老人福祉施設
- 特別養護老人ホーム
- デイケアセンター
ほか
教育・研究機関
- 作業療法士養成校
- リハビリテーションセンター・研究所
地域包括ケアシステム関連
- 地域ケア会議
- 介護予防・日常生活支援総合事業
- 認知症支援
公務員
- 福祉行政機関
- 保健所
- 福祉相談所
ほか
養成する人材

先輩の声

作業療法学科 4年
(鹿児島県立加治木高等学校出身)
古川 歩さん
発達分野の知識を深め周りから頼りにされる作業療法士をめざしたい
3Dバーチャル解剖台を使用する「解剖学」は、福岡国際医療福祉大学の強みのひとつです。人体の仕組みや機能への知識を深めるだけでなく、習ったことをアウトプットすることができ、各器官の位置空間も確認することができます。「作業工程技術学・応用論」では、体だけでなく頭を使うこともリハビリであることを学びました。革細工やマクラメ、籐細工、タイルといった作品を作るなかで、どのようなことがリハビリに生かせるのかなど考えながら授業に挑んでいます。将来は発達分野で活躍したいと思っているので、頑張って勉強したのが「人間発達学」。産まれてからどんな過程で人間が発達していくかについて学びました。作業療法士にとって、発達分野は人気がある狭き門ですが、しっかりと意見を持った「やるときはやる!」という仲間と、一緒に夢に向かって努力を続けます。将来は、地元鹿児島で活躍したいです。発達分野以外にも、器用な手先を生かし患者さんのニーズに合わせた福祉用具を作ることにも興味がありますが、どちらにしても周りから頼りにされる作業療法士をめざして頑張ります。
作業療法士として活躍中!

柳川リハビリテーション病院
リハビリテーション部 副主任
作業療法士
松本 健太郎さん
大学院に進学し研究や学会発表も継続。地域のみなさんの力になれる作業療法士に
回復期リハビリテーション病棟で、脳血管疾患や運動器疾患の患者様に対する在宅復帰や復職のための訓練、患者様のご自宅での家屋調査、外出訓練などを行い、再び家庭や地域で生活を送ることができるよう支援を行っています。さらに、回復期専従セラピストとして病棟に入院される患者様やご家族との入院面談を実施するほか、医師、病棟の看護師、社会福祉士といった他職種との情報交換を行い、カンファレンスにも出席しています。作業療法士は、対象となる方の生活に関わります。一人ひとり異なる生活背景を聞き取りながら、疾病やけがに伴い日常の生活行為が困難となった患者様と共に考え、方法を工夫しながら、その方の生活を再構築していく。とてもやりがいのある仕事です。それだけに、選択肢の引き出しとなるたくさんの知識が必要です。日々目の前の患者様と一生懸命関わりつつ、勉強会への参加や文献抄読などで新しい知識を得ていく。さらに、私は臨床現場で得られない知識、経験を求めて、働きながら大学院へ進学したので、研究活動や学会での発表も継続していきたいと考えます。これからは、病院内での評価・訓練にとどまらず、地域の方々が生活の中で困ったときには「作業療法士に相談してみよう」と思っていただけるような医療専門職となり、少しでも地域のみなさんの力になりたいと思っています。
作業療法士の仕事紹介
どんな仕事?
- 生活に必要な動作能力の回復を図る
- 身体障害を持つ人に対して、日常的な身の回りの活動(食事・入浴など)や社会的活動(交流・仕事など)を回復させるための訓練を行うほか、精神障害を持つ人の自立や社会復帰を支援します。障害の特性やその人の好みにより、①食事などの日常動作②木工・絵画などの創作③遊び④スポーツなどを用いるほか、自助具の開発や住宅環境の改善を行います。
仕事の展開と将来の展望
- 生活する環境に着目した支援
- 障害を持つ人が日常生活や社会生活をスムーズに送るための複合的な支援を行う作業療法は、身体に障害のある人だけでなく、精神障害や発達障害(自閉症・学習障害など)の人も対象にしています。対象者がその人らしい生活を獲得するために、医療機関にとどまらず、保健・福祉・教育などの領域を含めた身近な地域の場で中心的な役割を果たすことが期待されています。