2020.08.12
本学理学療法学科 光武翼講師が行った研究が国際誌に掲載されました。
光武翼講師は脳卒中患者に対する前庭リハビリテーションが歩行能力に及ぼす効果についてシステマティックレビューを行いました。この研究成果は、国際誌Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseasesに掲載されています。
研究概要
脳卒中片麻痺患者は転倒の危険性が高く、リハビリテーションを行うことで姿勢安定性の向上が期待できます。しかし、リハビリテーションの中でも、前庭リハビリテーションが脳卒中患者の歩行能力の及ぼす影響に関しては明らかにされていません。
今回、ランダム化比較試験のシステマティックレビューを行い、脳卒中片麻痺患者に対する前庭リハビリテーションが歩行能力に及ぼす影響を検証しました。
方法ではMedline、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Physiotherapy Evidence Database、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature databasesを総合的に検索し、各データベースから2019年6月までに発表されたすべての論文を含みました。歩行能力の評価は、10m歩行テスト、Timed Up and Go test、Dynamic Gait Indexとしました。risk of biasを評価するためにPhysiotherapy Evidence Databaseスケール、エビデンスの質を評価するためにGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluationシステムを行いました。
結果として、3つの研究が含まれており、その内2つの研究では脳卒中片麻痺患者に対する前庭リハビリテーションの有効性が示されました。質の評価では、不適切な割り付けの隠蔽や参加人数が少ない、盲検化の欠如により低値であることが判明しました。現段階では、前庭リハビリテーションの有効性について、決定的な結論に至ることはできませんでした。今後、脳卒中患者に対する前庭リハビリテーションを大規模ランダム比較試験の実施が必要となります。
今回の調査では、脳卒中患者に対する前庭リハビリテーションの現在地を示す研究成果となります。今後も研究を進めていく上で重要な知見となる可能性があります。
論文情報
Mitsutake T, Imura T, Tanaka R: The effects of vestibular rehabilitation on gait performance in patients with stroke: A systematic review of randomized controlled trials. J Stroke Cerebrovasc Dis, In press