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【研究情報】理学療法学科 光武翼 講師/今年度3本目の研究論文が国際誌に掲載されました

2021.02.18

トピックス

 

光武翼講師は脳卒中患者に対する経頭蓋直流電気刺激と傾斜センサ内蔵型電気刺激の併用が歩行能力に及ぼす影響に関する研究を行いました。この研究成果は、国際誌Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseasesに掲載されています。

 


研究概要

 脳卒中片麻痺患者の歩行に対して、傾斜センサ内蔵型電気刺激(ts-FES)は遊脚相の下腿傾斜を検知して、麻痺側前脛骨筋への電気刺激を行うことで足関節背屈動作を補助し、歩行の安定性に貢献することが示されています。一方、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は一次運動野上へ陽極刺激を行うことで運動皮質の興奮性を向上させる可能性があります。これら単独の介入効果は示されていますが、併用効果に関しては明らかにされていませんでした。今回、傾斜センサ内蔵型電気刺激とtDCSを併用することで歩行能力の向上に貢献するのか検証しました。
 介入は回復期脳卒中患者をts-FES単独介入群、tDCS単独介入群、ts-FESとtDCS同時介入群に分類し、1週間20分間の歩行練習を毎日行いました。歩行能力は第3腰椎棘突起部上に装着した加速度計によって上下、前後、左右方向のharmonic ratio、autocorrelation、root mean squareを算出しました。その結果、ts-FESとtDCSの同時介入群では前後方向のautocorrelationに有意な増大が認められました。
 本研究で算出したautocorrelationは、連続して生じるストライドの一致率から歩行の規則性を示す指標として報告されています。今回、短期間の同時介入を行うことで、rocker functionや足部のクリアランスの改善がautocorrelationの前後方向に影響することが示唆されました。
 今回の研究では、回復期脳卒中患者の歩行障害に対する有効な介入手段として貢献する可能性があり、今後の継続的、且つ、発展的な研究が期待されます。

 

論文情報

Mitsutake T, Sakamoto M, Nakanozo H, Horikawa E: The Effects of Combining Transcranial Direct Current Stimulation and Gait Training with Functional Electrical Stimulation on Trunk Acceleration During Walking in Patients with Subacute Stroke. 28;30(4):105635, 2021.

URL: The Effects of Combining Transcranial Direct Current Stimulation and Gait Training with Functional Electrical Stimulation on Trunk Acceleration During Walking in Patients with Subacute Stroke - PubMed (nih.gov)

 

 

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