2021.04.08
光武翼講師は日本理学療法士協会主催 第1回物理療法部門研究会で「脳卒中片麻痺患者に対する経頭蓋直流電気刺激と傾斜センサ内蔵型電気刺激の併用が歩行規則性に及ぼす影響」の発表を行い、最優秀賞を受賞されました。
研究概要
脳卒中片麻痺患者の歩行に対して、傾斜センサ内蔵型電気刺激(ts-FES)は遊脚相の下腿傾斜を検知して、麻痺側前脛骨筋への電気刺激を行うことで足関節背屈動作を補助し、歩行の安定性に貢献することが示されています。一方、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は一次運動野上へ陽極刺激を行うことで運動皮質の興奮性を向上させる可能性があります。これら単独の介入効果は示されていますが、併用効果に関しては明らかにされていませんでした。今回、傾斜センサ内蔵型電気刺激とtDCSを併用することで歩行能力の向上に貢献するのか検証しました。
介入は回復期脳卒中患者をts-FES単独介入群、tDCS単独介入群、ts-FESとtDCS同時介入群に分類し、1週間20分間の歩行練習を毎日行いました。歩行能力は第3腰椎棘突起部上に装着した加速度計によって上下、前後、左右方向のharmonic ratio、autocorrelation、root mean squareを算出しました。その結果、ts-FESとtDCSの同時介入群では前後方向のautocorrelationに有意な増大が認められました。
本研究で算出したautocorrelationは、連続して生じるストライドの一致率から歩行の規則性を示す指標として報告されています。今回、短期間の同時介入を行うことで、rocker functionや足部のクリアランスの改善がautocorrelationの前後方向に影響することが示唆されました。
今回の研究では、回復期脳卒中患者の歩行障害に対する有効な介入手段として貢献する可能性があり、今後の継続的、且つ、発展的な研究が期待されます。
論文情報
Mitsutake T, Sakamoto M, Nakanozo H, Horikawa E: The Effects of Combining Transcranial Direct Current Stimulation and Gait Training with Functional Electrical Stimulation on Trunk Acceleration During Walking in Patients with Subacute Stroke. 28;30(4):105635, 2021.
受賞歴
2021年2月 最優秀賞(筆頭演者), 日本理学療法士協会 第1回物理療法部門研究会
2019年10月 奨励賞(筆頭演者), 第27回 日本物理療法学会
2018年10月 優秀賞(共同演者), 九州理学療法士・作業療法士合同学会2018 in 沖縄
2018年10月 優秀賞(共同演者), 第16回日本認知リハビリテーション学会 優秀賞
2011年2月 最優秀学会賞(筆頭演者), 第19回佐賀県理学療法士会学会
■2021年2月、第1回物理療法部門研究会で最優秀賞を受賞した光武講師