2022.10.27
本学理学療法学科の吉塚久記講師は、佐賀大学医学部の倉岡晃夫教授と共同で、靭帯と腱の相互作用を世界で初めて解明しました。この研究成果は、英国の学術誌 Scientific Reportsに掲載されています。
研究概要
足関節外側靭帯群の一つである踵腓靭帯(CFL)と、足部の偶発的な反転を抑制する長・短腓骨筋の腱は位置的に極めて近接しています。今回、我々は解剖体18肢の足部標本を治具に固定した状態で座標系を定義し、CFLの緊張に伴って生じる長・短腓骨筋腱の位置座標の変化について、非接触型3次元デジタイザを用いた精密解析を実施しました。その結果、緊張したCFLによって、長・短腓骨筋腱は有意に外側方向へリフトアップされることが明らかとなり、CFLが長・短腓骨筋の効率的な収縮を補助する「テンショナー」として機能することが強く示唆されました。
関節の安定化や関節運動の制御を担う靱帯と、筋肉に発生した張力を骨に伝えて関節運動を担う腱は、これまで機能的に独立したものと考えられてきました。本研究の成果は、慢性足関節不安定症の病態理解や治療法の開発、リハビリテーション医療における腓骨筋トレーニングの最適化、あるいはスポーツ分野のエクササイズ理論の発展といった幅広い領域に貢献することが期待されます。
論文情報
Yoshizuka H, Kuraoka A. Calcaneofibular ligament may act as a tensioner of peroneal tendons as revealed by a contactless three-dimensional scan system on cadavers. Sci Rep 12, 16650 (2022).
doi.org/10.1038/s41598-022-21115-5
https://www.nature.com/articles/s41598-022-21115-5